The Night Monarch
Dawn


「サク殿、どうしてくれるのかね。一睡もできなかったではないか」
「それは僕の台詞だよ」
 ボードゲームの駒を照らすのは、白い光。フヨウは苦々しげにそれを見てから、大きく欠伸をした。
 そう、フヨウとサクは、一晩中、宿にあったボードゲームに興じていたのだ。
「第一、貴殿は強すぎる」
 フヨウの目線には、同じく欠伸をするサクがいる。そして、視線を下げていけば、大敗したボードゲーム。
「あんたが弱いだけだよ」
 さらりと言われた言葉。フヨウはそれを強く否定したかった。この手の類の物を、フヨウは苦手としていない。しかし、目の前の男は、フヨウを遥かに超越する策士である。
 途中までは勝っていても、最後には巻き返される。しかも、フヨウは必死にやっているが、サクは打つのも早い。目の前の男は、高確率で、余裕を持ってやっているのだろう。そこがまた、フヨウの気に触る。
 フヨウは再び勝負を挑む。サクはにやりと口元を歪める。かたりかたりと駒を動かす音が鳴る。

 二時間後、降りてきたクリスに、二人揃って説教されたのは、言うまでも無い。


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NEO HIMEISM

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