The Night Monarch
Dream a Dream


 朝食の席で、フヨウはげっそりしていた。それは、ジェイクさえもが、気付くほどのものだった。
「フヨウ、元気ないわね」
 ついに、心配そうにクリスが言った。フヨウはゆっくりと息を吐く。
「悪夢を見たんだ」
「どんな悪夢? 追いかけられるようなやつ?」
 フヨウは首を横に振る。
「いや、別にそんなことはなかった」
 ならば、と首を傾げるクリスの顔を、フヨウは見た。そして、他の二人の顔を見る。そして、漸く口を開いた。
「劇をしたんだよ」
 そして、紡がれた言葉は、あまりにも酷かった。
「クリス嬢が、深窓の令嬢で、さらに病気がちだったんだ。恐ろしい……さらに、ジェイク殿は馬に乗った騎士隊長で、いつ落馬するか気が気では無かったよ……そして、最後のサク殿。何故か金髪で、三つ編みで、クリス嬢に意地悪なことを言っていたんだ」
 暫く沈黙が流れた。フヨウは、どうしたのか、と思いながら、三人の顔を見た。
「えーっと、ジェイク、サク、何発して欲しい?」
 クリスが突然、口を開いた。すると、口々に二人が言う。
「俺は一発で良いよ」
「十三発」
「私が十五発だから、合計で、二十九発ね」
 それが何を意味するのか、フヨウが理解した時には、もう手遅れだった。
「申し訳ない。謝罪はするから許したまえ」
 ぼかすかやられる夜の君主に、威厳は欠片も無い。



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