The Night Monarch
Dear My Kitty


 お人形さんみたいな子になるように、育てたつもりだった。
 しかし、あの少女が来てから、セリの何かが変わった。従順な子だ。行動は変わらない。だけど、何かが違う。
 そして、最近漸く気付いた。セリが、エルフと通じていることに。サクの妹だ。そう再確認してしまう程に、セリは上手く隠していた。
「母上、お庭の薔薇で輪飾りを作りました」
 セリは、無邪気に微笑み、淡い青に染まった薔薇でできたリースを、テーブルに置いた。
「あら、綺麗ね。誰に教えてもらったのかしら」
 そう尋ねれば、間髪入れずにセリは答える。
「エルフの庭師さん。とっても物知りなんです」
 セリは、一点の濁りも無い笑顔を浮かべる。そんなセリに、諭すように言ってみる。
「お外は危険だから、あまり出ないようにね」
「……分かりました」
 セリは、僅かに俯いきながら、そう言った。しかし、聞く気は全く無いだろうし、反省なんてもっての他だろう。
 言動、表情は完璧だ。しかし、ただ一つ、ぼんやりしていた青が、輝いている。それだけが、まだまだ甘い。



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NEO HIMEISM

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