The Night Monarch
The Ancient Knight


 年相応だと思いました。確かに、迷いはありません。ですが、彼女は迷えないぐらい、弱い人でした。しかし、カナンが気付かないのも、納得できました。
 カナンに、謎の女が現れた、と聞いた時、どんな強い女性なのかと、強く興味を持ちました。しかし、その女性は、まだ少女で、剣も甘く、そして何より、折れてしまうような脆さを持っていました。
「あの少女は強いと思うか」
 エフィアは、私にそう尋ねました。エフィアと私の感覚は似ています。見てきたものが似ているのです。彼も、彼女の弱さに気付いたのでしょう。
「フヨウは強くはないですよ。顔を背け続けたものと、漸く対峙するのですから」
 彼女は自分が弱いと分かっています。そして、何が原因かということも、理解しているのでしょう。
「強くなると思うか」
「強くなるかもしれませんね。ですが、私たちとは、全く違う歩き方をしていくことになるでしょうね」
 望まぬ力を与えられたという点で、私たちは似ています。それでも、私のように、その力を肯定し、愛すことは、彼女には不可能でしょう。彼女は、自分の力を否定したまま、歩き続けるでしょう。
「しかし、人間だ。死ぬだろう」
「ええ。ですが、厄介です。彼女が人間だからこそ、彼女は私たちにできないことができます」
 彼女は、魔界の大地に種を蒔き続けるでしょう。その数は、決して多くはありません。しかし、一つ一つの強さは凄まじいのです。彼女を慕い、彼女に影響された者たちが、何をするのか、私は想像すらできません。
 夜の君主は、大地に何かを残していくのです。



背景素材
NEO HIMEISM

戻る