Dark Rainbow
 
闇色の虹
 
出会い
 
 
 
「おお、あの魔界人やるね」
 
 サファイアがのんきに呟く。
 
「確かに、あれだけの数の魔物を避けるのは妖界人でも難しいものね……ふふ」
「アン、あんたなんか楽しそうに見えるけどそれは私の気のせい?」
「ふふふふ……気のせいじゃないの?」
 
 私の質問にアンはわざとらしく答えた。
 
「ねぇ、あの子ずっと妖怪の攻撃避けてばっかりだから、もうそろそろ助けに行った方がいいんじゃない?」
 
 アンとは正反対でルピアは心配そうだ。
 
「たしかに、遊び道具がいなくなったら困るもんね……あれ? そういえばパークスは?」
 
 サファイアは別の意味で心配そうに言ってから、パークスの存在を思い出した。 今頃になって……本当におかしな人。
 
「ここにさっきからいるよ」
「まあそんなことはどうでもいいとして、さっさと助けに行こうよ」
「ちょっと待て。自分から訊いときながらそれはひどい」
「ふふっ、新しく作った毒薬がやっと使えるわ」
 
 パークスの反論を遮ってアンは危険なことを言い出した。
 
「そうそう、パークスは役に立たないからそこら辺に隠れておいてね」
「パークス弱いからね」
「……」
 
 珍しくキツイことをルピアに言われた後、サファイアに的確に急所をえぐられたパークスは、かなりショックを受けたらしくがっくりと肩を落とした。
 
 「助け舟……」
 
 アンがのんびり妖界の中に突っ込んでいく。アンに跳びかかってきた魔物は、永遠に戻らないところにいってしまった。
 
「おぉっ、やるじゃん」
 
 初めて会った魔物の急所を確実に殴るライアルをしみじみと見ながらサファイアがのんびり言った。
 
「ねぇ、なんかおかしくない? あの子」
 
 ルピアは、助けに行こうといったのは自分なのに、その場で情報分析を始める。
 
「えっ? 何が?」
 
 アンはルピアの声を聞いてわざわざ戻ってきた。つまり途中で戦うのが飽きたということだ。
 
「魔法を使わないって所でしょ」 私はルピアのより先に言った。
 
「ふふっ、確かに、魔界人は身体能力こそ妖界人に劣るものの、魔力は強いわね」
 
 アンがのんびり答える。
 
「あっ、でももう大丈夫じゃない」
 
 サファイアがだいぶ要領がつかめてきたライアルを見ながら言った。
 
 
―*―*―*―*―
 
 
 ライアルの方は必死であった。体術の訓練をしておけば良かった、と感じた。ライアルは、魔法、打撃攻撃手段としては、棒術を使っていた。体術は、それを補う程度のものとかやっていないのだ。
 
 一々殴っていたらきりがない。しかし、このままでは命が危ない。
 
 ライアルは顔と行動は余裕だったが実際に違ったのだ。
 
 そのとき、ライアルは自分を見物している妖界人に気がついた。五人いる。 ライアルの頭に考えが浮かんだ。魔物をなぐりながら、力を調べた。
 
(あの四人は無理だな。でも、あそこの岩の陰にいるやつが丁度いい)
 
  ライアルは慎重に魔力を探った。標的を1人に絞る。勿論魔物にも気を使いながら。
 
(今だっ)
 
 ライアルは、一気に魔力を奪い取り、大きな雷を作り出し、一瞬で魔物を吹き飛ばした。
 
 

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