Dark
Rainbow
闇色の虹
方法
「ねぇ、もしかしてライアルって妖界に観光に来たの?」
この様子に全く気づいていないのか、明るい声でルピアが周り(妖界で一番危険な場所)を見回しながら言い出した。
ルピア……大丈夫?
「そんなわけがないでしょ」
「ふふっ、ルピアってたまに突拍子のないことを言うわね」
もちろん観光なはずがなく、ライアルが否定する前にサファイアと私、それとアンにあっさりと否定されてしまった。
しばらくして、また存在を忘れられていたと思われるパークスがライアルに質問をした。
「そういえば、さっきから気になってたんだけどなんでライアルは妖界に来たんだ?」
「それに魔力を使ってなかったのも気になるよね♪」
サファイアもパークスに続いてもうひとつライアルに質問を(本当は深刻なことなのだろうが、とてもうれしそうに)した。
「あぁ、そのことなんだけど実はキナっていう悪魔の姉が、私がちょっといたずらをしただけでいきなり魔力を奪って、そのまま妖界につづく穴に落としてきたんだよな。」
ライアルはいつものことかのように平然とした顔(ついでにいたずらをしたことに対してはぜんぜん反省をしてない顔)をしている。
はぁ、何で私の周りにはこういう人がたくさんいるの。
「ふ〜ん、大変なんだね。じゃあこれからどうするの?」
ルピアはそんなライアルの様子にぜんぜん気づいていない。
「そうだな……、まずは妖界から魔界に戻らないといけないな」
「たしか妖界から魔界に戻るためには、城の中にある魔法陣の場所まで行かないと絶対に帰れないといわれているけど、その魔法陣は城の最も古い禁書の中にも載っていなかった。だから今魔法陣の場所を知っているのは妖界王だけね」
とりあえず私は昔、城の中の危険区域に入り込んだことを思い出しながらライアルに情報提供をすることにした。
「あれ?待って、サリーその禁書って確か王様が触りでもしたら即死刑にするって指令があったやつじゃないの!? しかも笑顔で」
ルピアが何か言ってるけど、気にしない、気にしない。
「そんなことは気にしてちゃあ駄目だよ、ルピア」
すると、隣にいたサファイアが助け舟(?)を出してきてくれた。
「えっ、ちょっとサファイア?それって気にしないで済む問題じゃないでしょ」
「まぁまぁ落ち着いて、それじゃあ城に行ってこっそりと魔法陣を見つけ出すしか方法がないわね」
ルピアの心配に気づかずサファイアはかなり危険な提案をした。
「ふふふ、いいわね」
あーあ、アンまでやる気になっちゃったよ。
「でも、ヘタすると命がないよ」
「確かにかなり危険よ」
ルピアと私は一緒になって反対したが、
「大丈夫よ。そんなことで死ぬメンバーじゃないわ」
「それに、こうなったのはサリーが魔法陣の話をしたからじゃあなかったかしら?」
「ついでに言っとくけど、そのことは私一人でできるからついて来なくて大丈夫だよ」
私はサファイア、アンに痛いところを突かれた後、ライアルの一言を聞きながら、止めても無駄だということに気がついた。
「しょうがないわね。城に行きましょ」
ルピアはすでに選択肢がなくなってしまったことに気がついて複雑な顔をした。ライアルは《まっ、いっか》とでも言っているかのような顔をしている。
「よし!これで決定ね」
サファイアは久々に冒険ができるからか、かなり声が弾んでいた。
「水を差すようで悪いけど、さっきから僕の存在をまた忘れてないか?」
「あっ、パークスまだいたの?」
「ふふっ、ごめんなさい私も存在忘れてたわ……」
「おまえ存在感ないなぁ」
「……本当にね」
サファイア、ルピアの声がきれいに重なった後、アンに皮肉を持って謝られ(まるで追い討ちをかけるように)、さらにさっき会ったばかりのライアルにもだめ出しをされ、それを私の後押しという名の(文長い)攻撃を受けたパークスはもうすでにあきらめモードに入り、再び深くため息をついた。
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