Dark
Rainbow
闇色の虹
侵入
とりあえず一行は目的地の近くまで歩いてきた。(当然だが)かなり危険を冒しながら。
すると目の前が開けて、闇に包まれ怪しく光る巨大な城が見えてきた。
「ここがサリーが言ってた城で、ついでに一応私たちの家みたいなものよ」
(ライアルが)見つかると後々面倒なので雑木林の中に身を潜めながらルピアがささやいた。
「そうか……」
大して驚いた様子もなくライアルは呟いた。
「そんなことよりどうやってこっそり忍び込む?」
私はライアルとルピアのたあいもない会話を聞きながらさっきから気になっていたことを訊いてみることにした。
「ふふふふふ、そんなのは簡単よ。この新薬を使って壁を溶かすの……ふふ」
異常なほど笑いながらとんでもないことを言い出すアン。
まともな答えを期待した私が馬鹿だった。
「それいいわね! ナイスアイディアよ、アン」
「お、それいいな」
「……」
自分たちの家を溶かすことのどこがナイスアイディアなの?
(ルピアとパークスはあんまりのことにただただ呆然としている)
とはいえ、それ以外に方法は見つからない。
「じゃあ、ヨロシクね、アン」
「了解……」
サファイアの言葉に答えながらアンはまたもや不気味な笑みを浮かべると、城の壁のほうへ気配もなく近づき、紫色のぶくぶくと泡を立てている(いかにも危なそうな)薬を取り出すと、一滴壁にたらした。
どうやってこんなものを作ったのかは謎だが、壁は音もなく溶けていった。
「ここまで来たらもう後戻りできないよね?」
ルピアが溶けた壁の目の前にしてやっとのことで一言呟いた。
可哀想なことにルピアはここが大の苦手な場所。(家なのに)
「当然」
「ルピア、あなたは妖界人でしょ」
「こんなことで怖がってちゃだめよ」
「まぁ、ルピアは例外だけどな」
しかしライアル、アン、サファイア、パークスの言葉を聞いてルピアはあきらめがついたらしく、軽くため息をついた。 そして物音をあまり立てないように魔法陣探しを始めようとした。そのとき、
「よし!!行くか!」
サファイアはやる気を出すために一言叫んだ・・・・・ってちょっと!?
「……!?」
私とルピア、それとパークスは一瞬、驚いて動きが止まってしまった。
しかし、全員すぐにわれに戻ると
「これ以上叫ぶなよ」
パークスは溜め息を吐く。
「見つかっちゃうよ……」
ルピアはもう限界に達しているようだ。
「本当に危険なことするわね」
私はできる限り声を小さくしてそう言う。
「もしかして、お前馬鹿なのか?」
ライアルは、素でそう訊いている。
「ふふふ、でも今のところは気付かれてないわ」
アンは咎める気すらないようである。
「あはは、ゴメンネ♪」
全員(サファイアとアンを除く)は、一応一言ずつ非難を込めた言葉(それと目)をサファイアに投げかけた。
サファイアは笑って(しかも非難の声に対して何の悪びれもなく)ごまかした。 そして六人は城の中へと侵入していった。
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