Dark Rainbow
 
闇色の虹
 
 
 
 
 とりあえず皆と別れた後、僕とサファイアは五階から探していくことになった。だが、サファイアはさっきからやけにはしゃいで周りの物で遊んでいる。
 
「わぁ〜♪やっぱりこの城は面白いな」
「おい、サファイア。なんか目的忘れてるぞ」
「あら、私はちゃんと目的は覚えているわよ。パークスってば私がそんなに馬鹿だと思った?」
「そうだよ」
 
 大正解。今日のサファイアは冴えてるな。
 
「なによ。パークスなんかに言われたくないわね」
「この前アンがどこからともなく持ってきたテストで二十点を取ったやつには言われたくないな」
「そんなことよりさっさとその目的とやらをさっさと終わらせちゃいましょうよ」
 
 自分が不利だと感じたサファイアは突然話題を変えてきた。
 
「サファイア、一つ聞くけどその目的はなんだったか言ってみろ」
「え〜と。ライちゃんの妖界の観光案内でしょ」
「馬鹿。ライアルを魔界に戻すために魔法陣を探してるんだろ」
「あ、そうそう♪ 魔法陣探しをしてるんだよ」
 
 こいつは本当に大丈夫なのか?
 
「よ〜し!!探すぞぉ」
「静かにしろよ」
 
 やる気を出してくれたのはうれしいけど、いきなり大声出すやつがいるか、と声を出しそうになったが、そうすると、サファイアと同等に扱われるのは嫌なので、なんとか自分を抑えて静かに注意した。
 
「はいはい」
 
 そんな僕の注意を聞いていないのか、サファイアは軽く話を受け流してそこら辺を探し出した。(大きな音を立てて)
 
 約二時間かけて僕たちはやっとのことで屋上まで来た。
 
「ふぅ、やっと屋上ね。一人で探すのって本当に大変」
 
 サファイアは一言つぶやいた!?
 
「ちょっと待てよ、また僕の存在忘れてるぞ」
「あっ、ごめんまた忘れてた」
「どうやったら屋上に行くまでずっと話してた相手を忘れられるんだよ、この能無し馬鹿」
 
 僕は怒りを込めて言った。(最後の言葉は後が怖いから小声になったが)
 
 だが、サファイアにはその怒りはまったく届いていないらしく(運が良いことに最後の言葉は聞こえていなかったようで)、面白そうに、
 
「ほんとに不思議ね。何でパークスの存在忘れちゃったのかしら?」
 
と言った。
 
「……」
 
 もう僕はサファイアに言う言葉が見当たらなかった。
 
 僕が何も反論を言わないのが面白くなかったのか、サファイアは周りに置いてある不気味な魔物の置物(一個十キログラムはありそうな)を軽々とどけてその床に何かないか探し出した。
 
 その間、僕は軽そうな置物をどけたりして怪しいものがないか探すことにした。 その時、
 
「ねぇパークス、なんか変なボタンがあるんだけど、押すね♪」
「ええっ!!ちょっと待て、そんなわけのわかんない物を!?」
 
 時はすでに遅し。最後まで言葉を言う前に、突如現れた穴に僕は下に支えるものがなくなり下へ下へと落ちていくのを感じた。
 
 
 
 
 

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