Dark Rainbow
 
闇色の虹
 
物漁り
 
 
 
 只今、地下室で物漁り中……。(タイトルの通り)
 
 今は、ライアルと私は一階〜二階までの間ずっと黙ったまま作業を続けていき、ついに色んな物が散乱している地下室へといったところ。そのためかライアルは丁寧に物を探すのが嫌になったらしく、上に書いた通りの行動をとっている。魔法が使えないので魔法陣のありかを探ることができないまま、やっとのことでここまで来た。が……
 
 ここまで話していないとなんか話さないといけないような気もしてくる。
 
「ねぇ、ライアルの性別って、本当のところ女の子? それとも男の子?」
 
 ということで私は話してもよさそうな内容を探して、私がもっとも気になっていた内容のひとつをライアルに尋ねることにした。(ライアルは名前は女の子の名前だが、行動やしゃべり方は男の子みたいなのでどんなに考えても全然分からなかったのだ)
 
 ついでに、『ライアルのお姉さんのキナとはどんな人なのか?』という内容を始め訊こうとしたが、それを話す前にその気配を察知してかライアルに思いっきり睨まれたのでやめておいた。
 
「私のことを女と思うやつもいるし、男だと思うやつもいるから性別の方はサリーの好きなように考えたらいい」
 
 ライアルは周りの物を雑にあさり(探し)ながら答えた。いや、それが判別できないから訊いたんだって!!
 
「……じゃあ、もうひとつ訊くけど魔界ってどんなところなの?」
 
 高価そうな花瓶がライアルによって破壊されていっているが、気を取り直して私はもうひとつ質問することにした。
 
「内戦をよくやってて、たくさんの民族が共存している世界だ。」
 
 ライアルは物をあさる手じゃなくて探す手を止めずにこれも答えてくれた。
 
「そうなんだ。でも、妖界ほどはもしかして危険は少なかったりするの?」
 
 私はいすに座って休憩をしながらライアルにまた質問した。
 
「そうだろうな」
 
 ライアルは手を止めずにまた答える。
 
「それなら私も魔界に行ってみたいな。一度でいいから命の危険を感じなくていい場所で暮らしてみたいし」
「それなら行けばいいだろ」
「それが無理なのよね。他の世界から妖界に行くのは簡単だけど、妖界から他の世界に行くには今探している魔法陣しかない上に王の許しがない限りそこには絶対に行かせてくれないの」
「妖界の王はサリーの父親だろ。父親ならお願いしたら行かせてもらえるだろ」「だからだめなの。父はなぜか私を他の世界に行かせることに反対してるのよね」
「それは妖界の王は親ばかということだよな?」
「たぶん」
 
 私は、力はあるのにやけに頭の悪い父(つまり力だけで強引に妖界を支配したということ)を思い出しながら答えた。話が続かなくなり 長い間沈黙が下りていたような気がする。私はいすから降りて魔法陣を探すことにした。
 
「なんか妙な抜け穴だな」
 
 あの後ずっと何も言わなかったライアルが突然何か呟いた。それは地下室に置いてある物のほとんどがライアルと私(なんかもうどうでも良くなってきたんで)の手によって破壊しつくされ、見るも無残な状況になり、諦めて皆と合流しようかと考えかけていたときのこと。
 
 私は嫌な予感がしたが一応ライアルが言うその妙な穴を見に行くことにした。
 
「ライアル・・・あなた自分が何をしたのか分かってる?」
「ああ、分かってるさ。私はこの部屋に来たときから気になっていたやけに巨大な箱を粉々にふっ飛ばしたんだよ・・・・・さっき突然魔法が使えるようになったからね。まったく、そんなガキにでも分かることを聞いてどうするんだい?」
 
 嫌な予感は見事的中。ライアルが粉々に吹っ飛ばした箱とは、我が家の家宝である水晶玉が保管されている頑丈な金庫。
 
「分かってないみたいだから言うけど、その箱の中に入ってたのは私の家の家宝なんだよ」
 
「やってしまったものはしょうがないさ」
 
 まったく悪気なし。
 
 まあ、手がかりになりそうな穴も見つかったし、魔法も使えるようになったから良いってことにしとこうかな。ばれる前に姿をまたくらましたら怒られることもないだろう。
 
「動揺するのは分かるような気もするが、そんなこと忘れてさっさと入るぞ」
 
 動揺しているのが分かるんだったらむやみに色んな物を破壊するのを止めてほしい。ライアルはそんなことお構いなしで穴の中に入って行く。私はさっきまでのことはあえて水に流して後に続いた。
 
 
 
 
 

BACK TOP NEXT

 
 
背景画像:空色地図