Dark
Rainbow
闇色の虹
合流
妙な穴は思っていたよりも距離はなく、すぐに出口を発見することができたのは良かったんだけど、運が悪いのか穴から顔を出してまずはじめに見たものは、アンだった。
「ふふふふ、久しぶりね、サリー」
出た。
私の最悪な(または幽霊&悪魔の)妹。
「久しぶりじゃあないような気がするけど。アン、ここどこか分かる?」
「ふふふ、私に答えを期待しても何もいいことはないわよ、ふふっ」
完全に楽しんでるアン。私はあきらめて、疲れた様子のルピアに聞くことにした。
「じゃあ、ルピアここどこか教えてくれる?」
「あのね、ここはアンが言うには妖界王の屋敷の中みたいだよ」
アンとは対照的に素直なルピア。でも、ここが妖界王の屋敷ってことは……
「大丈夫よ。今、王は四楼に呼ばれて魔界に行っているわ」
「初耳ね。何で今までそのことを教えてくれなかったのかしら?」
私は心の中をのぞかれたことに腹を立てながら、少し皮肉をこめて訊いた。
「さっきから言ってるけど、この私に答えを求めること自体が間違っているのよ……ふふ」
確かに。
「そういえばサリーたちは魔法陣見つけた?私たちの方はまだ見つかってないんだけど」「いや、まだ見つかってない」
ルピアの質問に私に代わってライアルが答えた。そうか、あのアンでもまだ見つけられてないのか、と私は心の中で思った。隣でアンはまた私の心の中をのぞいてきた。
そして、それに答えるかのように黒い笑みを浮かべながらなにやら断言をした。
「でも大丈夫よ。そのうち見つかるわ、ふふふ」
やっぱりアンの考えは読めないな。
「聞いても無駄だとは思うけど……それってどういう意味?」
さっきと打って変わりアンは私の質問には答えずに暗い通路の方をじっと見つめていた。何かを待っているかのようだ。
「アン?」
ルピアが不安そうに呟いた。
ルピアも私と同じように嫌な予感がしているようだ。ライアルも嫌な予感がしているはずなのになぜか口元に笑みを浮かべている。直感じゃなくてももうすぐで危ないことが起こることは分かるのに、なんでアンとライアルは笑ってられるの?(この二人からは父と同じような匂いがする)
念のために私はいつでも防御魔法を使えるように準備しておこうとした。
だが、その前に轟音とともに大量の見たことのない魔物(魔物の癖にやけに強い魔力を感じた)が通路から姿を現し、襲い掛かってきた。
「「!?」」
「やっと来たわね。ふふ」
「それにしてもすごい量だな」
アンとライアルのいつもと大して変わらない会話。
私とルピアは驚いて声も出せなかったが、アンの
「逃げないと危険よ・・・・・」
という緊迫感のない声を聞いて、なんとか魔物に攻撃される前に状況を理解でき間一髪でアンとライアル(なぜかこの事態を予測していたようで全然驚いていない)についてこの場から逃げ出すことができた。
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